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建てるのなら、木造で 木造建築の海外の取り組み ~海外では地球環境に配慮した、木を用いた建物が注目されています~
未来を見据えた世界の潮流
海外では、地球環境への貢献の観点などから、さまざまな中大規模建築物の木造化や混構造における木材利用の取り組みが進められています。その背景には世界的な気候変動や生物多様性の損失、貧困や格差、紛争や人権侵害など、さまざまな課題の存在があります。それらを解決に導き、より良い未来をめざすために世界が合意した目標として、「パリ協定」と「S D G s:持続可能な開発目標( Sustainable Development Goals)」があります。この二つは経済社会の抜本的転換を求めており、海外の建築の世界においても、将来の持続可能性に関わる大きな変化だと考える企業が多くなるとともに、目標達成に向けたビジネスへの期待もいっそうの高まりをみせています。
将来的に木が脚光を浴びる可能性
脱炭素社会・持続可能な社会の構築のため、木造化・木質化の取り組みを通して、企業としての社会貢献が求められています。さらに、近年では、SDGsを強化する動きとして、国連気候アクション・サミット(2019年9月開催)に合わせて、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)による国連責任銀行原則(PRB)が発足し、経済活動において投資家がESG(環境・社会・ガバナンス)への取組みを投資先の企業に求める動きが世界的に強まってきています。建築事業者は、国連のSDGsの発表等を背景にグローバルに拡大を続ける「ESG投資」の波を捉え、木造建築を投資家に対し効果的にアピールするとよいでしょう。このような流れを受けて、建設や不動産業界においても、建築物のZEB化(Zero Energy Building¹)に向けた機運が世界的に強まることが予想されます。森林の成長時にCO2を固定しライフサイクルの観点から環境負荷低減に寄与する木造化・木質化の取り組みは、ESGへの取り組みと金融投資家をつなぐツールとして注目を集める「グリーンボンド」などのESGマネーを呼び込むうえで、世界的にも先駆的な取り組みになることが期待されます。
- 「パリ協定」ってなに?
- パリ協定は、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組であり、産業革命前と比べて気温の上昇を2℃よりも十分低く、さらには1. 5℃以内に抑えることを目指す、という目標を掲げています。これは、21世紀後半には温室効果ガス排出をネットでゼロにするということであり、経済社会の大転換を意味するものです。このような中で、ビジネスは、地域のコミュニティとともに脱炭素社会のパートナーとして関わっていく必要があります。
- 「SDGs」ってなに?
- SDGsは、先進国・途上国すべての国を対象に、経済・社会・環境の3つの側面のバランスが取れた社会を目指す世界共通の目標として、2015年9月に国連で採択されました。貧困や飢餓、水や保健、教育、医療、言論の自由やジェンダーなど、人々が人間らしく暮らしていくための社会的基盤を2030年までに達成するという目標になっていて、17のゴール(目標)とそれぞれの下により具体的な169項目のターゲット(達成基準)があります。
- 「ESG投資」ってなに?
- ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。特に、大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及しつつあり、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会を評価するベンチマークとして、持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。
- 「グリーンボンド」ってなに?
- グリーンボンドは「企業や地方自治体などが、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券」²であり、発行体が環境貢献等のインパクトを投資家にレポーティングすることで、資金使途のモニタリングと投資家へ透明性の確保を促すものです。なお、現在グローバルに普及している発行のための基準では、建築での木材利用が投資の対象として適格であると認定されているわけではありませんが、環境負荷低減の効果を定量的に示すことができれば、ESG投資家に対し広く訴えることが可能です。